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幻の美濃唐津

美濃唐津あやめ文向付です。表から見る限りはちょっと手の込んだ絵の絵唐津かと思う方が多いと思います。ところが裏返して見てびっくり! 志野の向付と同じ作りの半環足とピントチ底部痕があり、裏だけ見ていると鼠志野そっくりです。美濃唐津というのは美濃産で、鉄分を多めに含んだ土に薄めに長石釉を掛けて唐津風の絵付を施した物で、極めて数の少ない物です。松の絵の耳付で縦に長い花生が有名ですが、他に目にする機会があるのは桧垣文の沓形鉢ぐらいでしょうか。
交換会大会でこれだけは何としても死守せねばと声を張り上げ続け落手に至りました。王道の名品は大手に太刀打ちできるはずもありませんが、こういったマニアックな物はまだ付け入る隙があるものです。無傷なれどツルツルカチカチの絵志野筒向付を山越えで落としてどや顔している業者を尻目に、本当にありがたいのはこっちこっちと舌を出しながらちょっと幸せな気分で帰途につきました。安くはありませんが一応これも売り物です。

幻の美濃唐津
幻の美濃唐津